便秘が続く
便秘も身近な症状の一つですが、煩わされると日常生活に支障を来すこともあります。
仮に毎日排便があるとしても、4回の排便中1回以上で残便感や排便困難感、硬便を感じているとすれば、慢性便秘症という名の疾患として、定義されることもありますので、気になる方はご相談ください。
ポイントは
です。
① 便秘症の背景に他の疾患が隠れていないか
便秘になるとすぐにお薬を使いたくなりますが、これまでなかった便秘が初めて生じたり、症状が強い場合には、その背景に他の疾患が隠れていないか確認が必要です。
特に中高年以上の方で初めて便秘になった、もしくは既存の便秘が悪化した際には、まずは大腸がんの否定が必要です。
頻度は決して高くはないですが、便秘から大腸がんが見つかる中高年の方が毎年一定数います。
その様な方は、最低限便潜血検査(ご自宅で2日間便をこすり持参して頂く検査)か、同じ部位の腹痛を繰り返したり血便も伴う場合には、始めから大腸カメラを提案します(当院の大腸カメラの予約は1-2か月待ちのことがあり、緊急性が高いと判断した場合には他院への紹介も提案します)。
その他、若年の方を含め、
- 他のお薬の影響
- 甲状腺の働きの低下
- 腎臓の働きの著しい低下
- 長年放置された糖尿病
などの可能性も、問診や血液検査などで適宜確認します。
② どの様なお薬を使うか
便秘のお薬、つまり下剤にはいろいろなものがありますが、大別すると2つで
- 刺激性下剤
- 非刺激性下剤
となります。
刺激性下剤は効果は強いけれども腹痛を来したり、何より長期投与で依存性を生じることが問題となる下剤です。
市販の下剤に含まれていることも多く注意が必要で、仮に使用するとしても屯用もしくは短期間に限った使用とするべきです。
非刺激性下剤は効果はマイルドですが依存性の低い下剤です。
当院ではまずはこの非刺激性下剤を提案し、効果が不十分な際に少しずつ刺激性下剤に近いものを提案していきます。
ただ、市販の下剤を含め既に刺激性下剤を長期間連用している方は、正直なところ治療に難渋することが少なくないです。
刺激性下剤を連用し続けると徐々に効かなくなり、より高用量となった末、最終的に手術が検討されることすらありますが、単純に非刺激性下剤に変更しても効果が不十分な場合が多いからです。
その様な場合に当院が提案するのが漢方薬です。
漢方治療についての項でも説明していますが、漢方薬は西洋医学のお薬よりも効果の強いことがしばしばあり、下剤はその代表例です。
刺激性下剤に近い部分もあるので注意も必要ですが、問診や腹診(お腹を触らせて頂いた際の所見)に応じて選択すれば、効果をあまり落とさず依存性を低減したお薬に変更できる場合があります。
現在使用している下剤にご不安のある方は、是非ご相談ください。