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お腹の調子が悪い

腹痛で想定される疾患は多岐に渡り、その重症度も、放置して全く差し支えのないものから数時間で命に関わるものまで、とても幅があります。

ポイントは3つです

  1. 腹痛はその瞬間を明確に覚えているくらい急に起こったか、あるいはじわじわといつの間にか起こっていたか
  2. 腹痛は左右対称か、また他人に痛いところを押されて耐えられるか
  3. 腹痛のほかにどんな症状があるか

① 腹痛はその瞬間を明確に覚えているくらい急に起こったか、あるいはじわじわといつの間にか起こっていたか

当然かもしれませんが、具体的な疾患名を考える前に「至急適切な対応をしないと、命に関わるかどうか」を考える方が先です。
全てのケースに当てはまる訳ではないですが、①、②はそれを判断するために有益な情報です。

まず、

その瞬間を明確に覚えているくらい急に起こった腹痛は、重症かもしれない

とお考えください。
瞬間的に生じた腹痛というのは、多くの場合

何かしらの「管」が「詰まった」「捻れた」「破裂した」

ことが原因となります。
この場合の「管」とは「血管」「尿管」「消化管」などであり、
それらが「詰まった」「捻れた」「破裂した」状態を想像すると、何となくゾッとしませんか?

② 腹痛は左右対称か、また他人に痛いところを押されて耐えられるか

次に、

左右非対称な腹痛(=体の正中線上に痛みがない腹痛)や、他人に痛いところを押されて耐えられない腹痛は、重症かもしれない

とお考えください。
以下、消化管を例にとって考えましょう。

例えば感染性腸炎などの小さなトラブルの場合には、左右対称な漠然とした範囲に痛みを生じ、そこを他人に押されても我慢できる程度のはずです。

しかし急性虫垂炎などの大きなトラブルの場合には、左右非対称な比較的狭い範囲に(この場合は右下に)痛みを生じ、そこを他人に押されると身をよじって逃げたくなります。

これは、急性虫垂炎などの大きなトラブルでは

腹膜に炎症が波及していることが多い

からです。

消化管には痛みを感じる神経が多くないため(多かったら食物が通過する時に大変そうです)、感染性腸炎などの小さなトラブルで消化管が痛くなる時は通常
「何らかのトラブルが消化管で感知される」
→「消化管から脊髄へ、トラブルが起こっているという信号が送られる」
→「脊髄から体の正中に広く分布する神経へ、痛みの信号が送られる」
というルートを辿ります。
つまり、消化管のどこでトラブルが起こっても痛いのは体の正中になります。
また、その痛い箇所はトラブルが起きている箇所とは異なることが多いため、押されても大して痛くありません。

しかし、急性虫垂炎などの大きなトラブルが起こると、その近くの腹膜に強い炎症を引き起こします。
あくまでトラブルを起こした箇所の近傍に炎症を起こすため、痛みの位置は左右対称とは限りません(そのトラブルがたまたま正中線上で起これば左右対称になります)。
また、腹膜には痛みを感じる神経が多く、押されると激痛が走ります。

③ 腹痛のほかにどんな症状があるか

以上を踏まえて、じわじわ起こった、左右対称な、押されても我慢できる範囲の痛みなら、少し余裕を持って具体的な疾患を考えることができます。

前述した様に想定される疾患は多岐に渡るため、血液検査や尿検査、腹部エコー、内視鏡検査などいろいろな検査が必要になることも少なくないです。
ただ、まずは

腹痛のほかに症状がないか

を確認します。

血便、下痢、便秘 → 消化器
血尿、排尿痛、尿が出づらい → 泌尿器
月経や帯下の異常、直前の性交渉 → 婦人科的な臓器

など、腹痛に+αの情報が加わることで、想定される疾患をかなり絞りこめます。
結果として、余計な検査を減らすことができるでしょう。

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