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貧血が気になる

前提として、一般の方々が使う「貧血」と、我々医療職が使う「貧血」という言葉は、意味が異なることが少なくないです。

一般の方々が使う「貧血」は「ふらっとする立ちくらみの様な症状全般」を指すこともある様ですが、我々医療職が使う「貧血」は「血液検査で指摘されるヘモグロビンの減少」とお考えください。

なお「ヘモグロビン」とは、血液中の赤血球の中にある、酸素を運ぶ「運搬屋」のことです。

タンパク質と鉄分からできており、赤血球、ひいては血液の赤色のもとになっています(鉄さびの赤色を想像してください)。

ここでは「血液検査で指摘されるヘモグロビンの減少」について解説していきます。

  1. 鉄欠乏がないか
  2. 徐々に悪化していないか

がポイントです。

① 鉄欠乏がないか

貧血でまず重要なのは、ヘモグロビンの原材料となる鉄分の欠乏があるかどうかです(血液検査で簡単にわかります)。

鉄欠乏の原因としては

  • 口から摂取している鉄分が少ない (極端なダイエットや偏った食生活)
  • 体の中での鉄分の使用量が多い(妊娠中や思春期)
  • 体から出ていっている鉄分が多い

が挙げられます。

この中で特に注意しなければならないのが

  • 体から出ていっている鉄分が多い

です。

鉄分の6-7割は血液中に含まれるため、これは

出血量が多い

と言い換えることができるからです。

さらに言い換えると

どこから出血しているか

となり、これが最も気になる部分です。

例えば、バケツに水を入れても入れても水かさが増えない時、バケツのどこかに穴があいていないか気になりませんか?

その感覚と同じです。

出血源の多くは

  • 子宮 
  • 大腸

になります。

閉経前の女性の場合は子宮、つまり月経に由来することが圧倒的に多いですが、子宮筋腫や子宮内膜症、場合によっては子宮がんなどの悪性腫瘍に由来することもあります。

後述する胃や大腸の精査に加え、一度婦人科での精査をお勧めします。

閉経後の女性や男性の場合は特に注意です。

閉経前の女性における月経の様な出血源が基本的には存在しないため、何かしらのトラブルを強く疑います。

しかもそのトラブルは、胃潰瘍や胃がん、大腸がんなど軽いものではないことが多いですので、必ず胃や大腸を精査するべきです(閉経後でも女性なら婦人科受診も検討されてください)。

胃に対しては胃カメラを、大腸に対しては便潜血検査や大腸カメラを検討します。

ここまでをまとめると、

貧血を見たら鉄欠乏がないかを確認し、鉄欠乏があれば子宮や胃、大腸を精査するべき

ということです。

② 徐々に悪化していないか

鉄欠乏がなければ急激に悪化することは少ないため、少し余裕を持って経過を見ることができます。

それでも徐々にヘモグロビン値が低下する場合は注意が必要です。

鉄欠乏よりも頻度は低いですが、

  • 赤血球を造る骨髄の異常
  •  (鉄分以外の)ビタミンなどの赤血球の原材料の不足
  • 赤血球は造られるがすぐに壊されてしまう異常

などが考えられるからです。

赤血球を車、骨髄を工場に例えると

  • 工場のトラブル
  • 工場は正常だけども車の原材料が足りない
  • 車はしっかり造られ出荷されているけど、出荷後どこかで悪い奴らに破壊されている

というイメージです。

いずれ、ヘモグロビン値が徐々に低下する場合には、必ず受診を検討されてください。

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