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痛風かも・尿酸値が高い

健診で尿酸値が高いと指摘され無症状のうちに来院される方も一定数いますが、多くは痛風発作を来し痛くなってから来院されます。

それでも構いません。

ただ、一度でも痛くなったらお薬の始め時とお考えください。

ポイントは、

  1. 尿酸値が高いことで実害を来している、もしくは来したことがあるかどうか
  2. 尿酸値をしっかり下げるべき方は、どこまで下げたらよいか

です。

① 尿酸値が高いことで実害を来している、もしくは来したことがあるかどうか

尿酸値が高いことを高尿酸血症と呼びますが、高血圧症や糖尿病、脂質異常症といったほかの生活習慣病との大きな違いは、

実害を来す前に値を下げても、十分な恩恵を得られるかどうかはっきりしない

という点です。

高血圧症や糖尿病、脂質異常症は、実害を来すまで待ってはいけません。
その実害とは動脈硬化から引き起こされる脳卒中や心筋梗塞、腎不全などで、往々にして最初の一撃が致命傷となり得るからです。
値が高いことがわかり、かつ生活習慣の是正のみで改善しない様なら、お薬を使用することを躊躇してはいけません。

しかし尿酸値は、高いと動脈硬化を進めるかどうか、あるいはそこから脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすかどうか、まだわかっていないのです(関連を示唆するデータはあります)。

そのため、高い尿酸値を見ても、値が極端に高くなければ、お薬を使用してまですぐに下げることはせず、

実害を来している、もしくは来したことがある

場合に、お薬を含めてしっかり尿酸値を下げることを検討します。

ではその実害とは何かというと、

痛風、尿路結石、腎障害

です。

具体的には、

  • 尿酸値 7mg/dL以上 かつ 痛風の既往あり
  • 尿酸値 8mg/dL以上 かつ 尿路結石や腎障害などの既往あり
  • 尿酸値 9mg/dL以上

のいずれかに該当する際は、尿酸値をしっかり下げるべきだと考えます。

② 尿酸値をしっかり下げるべき方は、どこまで下げたらよいか

これらの中で明らかに頻度が高いのは、

尿酸値 7mg/dL以上 かつ 痛風の既往あり

のケースです(というより痛い最中に来院されるケースが大半です)。
この場合、尿酸値は

6mg/dL未満

まで下げることが推奨されます。

そもそも痛風とは、痛くなった部位に尿酸の結晶が析出し、炎症を起こすことで起こります。

小中学校の理科で習った記憶があるかもしれませんが、結晶が析出するかどうか、あるいは析出した結晶が再び溶けるかどうかを決めるのは

溶液の温度 と 溶液の濃度

の2つのみです。
温度が低く、濃度が高いところには結晶が析出しやすく、溶けづらいのです。

痛風が足に起こりやすいのは、人体の中でその部分の体温がほかに比べて低いからなのですが、残念ながら我々は恒温動物ですので、意志の力で体温を上げることはできません。

我々ができることは尿酸の濃度を下げることのみですが、体温がほぼ一定であることから、血中の尿酸値を

6mg/dL未満

にすれば、析出してしてしまった尿酸の結晶が溶け出していくことがわかっています(それ以上の値だと、痛みが引けた後も結晶はそこに留まり続け、発作を再び引き起こす可能性があります)。

ではどの様にすれば、尿酸値は下がるのでしょうか。

濃度は溶媒(溶かすもの)と溶質(溶けるもの)によって決定され、溶媒が少なく、溶質が多いほど、濃度は上がります。

当院では毎年曳山祭りの前後に痛風を来して来院される方が激増しますが、おそらく多くの方が

暑い中で曳山の準備をして脱水になる(=溶媒である水が減る)

喉が乾くのでたっぷりお酒を飲む(=溶質である尿酸が増える)

という機序で、血中の尿酸値が急激に上がり、痛風を来しているのだと考えます。

飲酒量が多い方は、しっかり節酒し、しっかり水分を摂ることで、お薬を使わずに大きく尿酸値を下げられるケースもあります。
しかし、なかなか節酒できない方(実際のところ多いです)、あるいは元々飲酒しないのに尿酸値が高い方は、お薬をしばらく継続し尿酸値を6mg/dL未満にキープすることが、痛風発作を繰り返さないために肝要となります。

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